9.腕





一人の夜は慣れている。

寝る前にはホットミルク。

寝る時にはいつもより多めのブランケット。



微かな灯りを残したまま、

ゆっくりと眼を閉じて夢の世界の入り口を叩く。

壁の軋む音と、自分の鼓動が子守唄。



ブランケットを身体に巻きつけるようにして、

体温を中へ閉じ込める。



それでも、足りない。



あの腕に包まれる安心感は、満たされることはない。





だから早く

早く帰ってきて。










 



*一周年祭



© 2011 Nami NAKASE